アルバムを買う理由の52.7%は音楽ではない

韓国消費者院の調査で、グッズ収集のためにCDを買ったという回答が52.7%、CDで音楽を聴くという回答は5.7%だった。1枚あたりグッズ平均7.8個、うち2.9個がランダム。そして残ったCDは捨てられる。

🇰🇷 韓国·2026年8月8日·8分で読める

K-POPのアルバムはCDではない。正確に言えば、CDが入っているグッズの箱だ。

この文は比喩ではなく調査結果である。韓国消費者院がファンダム活動をしている消費者に尋ねたところ、**グッズ収集を目的にCDを買ったという回答が52.7%だった。同じ調査でCDで音楽を聴くという回答は5.7%**だった。10倍近い差がある。

数字でひとめ

項目数字基準
グッズ収集目的の購入52.7%韓国消費者院の調査
CDで音楽を聴く5.7%同じ調査
音源・映像ストリーミングの利用83.8%同じ調査
CD1枚あたりの平均グッズ数7.8個調査対象128商品
うちランダム封入平均2.9個(約37%)同じ調査
ランダムのトレカを含む比率96.9%同じ調査
環境に良くないと答えた比率67.8%同じ調査
2026年上半期のCD販売枚数4,953万枚 — 過去最高ハントチャート

調査が実際に数えたもの

数字を使う前に出所を明かしておく。韓国消費者院は直近2年以内に発売された主要K-POPアルバム50タイトルを調査した。ところがその50タイトルが実際には128商品だった。同じアルバムがバージョンを分けて複数売られるからだ — 1タイトルあたりの仕様が平均2.6種あった。

この時点ですでに構造が見えている。ファンが買うべき物の個数は、アルバムの数ではなくバージョンの数だ。

1枚にグッズ7.8個、うち2.9個がランダム

項目平均
CD1枚あたりのグッズ7.8個
うちランダムで入るもの2.9個(全体の約37%)
ランダムのトレカが入っているCD96.9%

トレーディングカード、フォトブック、ポストカード、ステッカー、折りポスター、メンバー別カード、抽選券。CD1枚を買うとこういうものが一緒に来る。だからケースが厚く、重く、値段もそれなりになる。

核心は7.8個ではなく2.9個のほうだ。残る4.9個は買えば必ず入ってくるが、2.9個は何が入るか分からない。この2.9個が再購入を作る。

78種を全部そろえるには13枚買うことになる

調査で最も極端な事例は、あるCDのトレカの種類が78種だった場合だ。このアルバムのカードを全部集めるには、算術的に最低13枚買う必要がある。それも1枚もダブらないという、現実には起こらない仮定のうえでの話である。

実際の購買行動がその結果だ。

項目平均最大
年間のCD購入回数4.7回
ランダムグッズ目的のときの1回あたり購入数4.1個90個
イベント応募目的のとき6.7個80個

一度に90枚。この数字は例外的な事例だが、平均4.1個という数字自体がすでに「1枚買って聴く」行動ではない。 最も多かった支出帯は5万〜10万ウォン超(27.6%)だった。

だから販売枚数はこうなる

ストリーミングの時代にCDがどれだけ売れているかを見ると、数字がずれている感じがする。

時点上半期のCD販売枚数
2023年上半期4,617万枚(当時の最高)
2025年上半期4,012万枚
2026年上半期4,953万枚 — 過去最高

2026年上半期は前年同期より940万枚(23.4%)増えた。2年の下落のあとの反発であり、半期基準の最高値だ。個別のアルバムではBTS正規5集『아리랑』が上半期だけで471万3,213枚、ATEEZ『GOLDEN HOUR』Part.4・5の合算で303万7,492枚、新人CORTISの『그린그린』が280万567枚を売った。

輸出も一緒に跳ねた。2026年第1四半期のCD輸出額は前年同期比159%増の1億2,000万ドルで四半期の最高値だった。

これらの数字の半分以上が、冒頭の52.7%から出ている。

そしてCDは捨てられる

ここで影が出てくる。目的がグッズなら、目的を果たしたあとのCDには使い道がない。

実際にアルバムを大量に買ってトレカだけ抜き、残りを捨てることが起きている。再生装置を持っていないファンも多い — CDで音楽を聴くという回答が5.7%なのに、ストリーミング利用は83.8%だ。CDプレーヤーを持たない人がCDを買う市場という意味になる。

韓国内で一緒に指摘されてきたことが二つある。

  • 販売枚数集計のゆがみ — 一人が90枚買えば、その数字はもう「何人が聴いたか」を意味しない。チャート順位と実際の聴取者数が離れる
  • 環境問題 — 使わないCDがプラスチック廃棄物として残る。この問題をファン自身も知っている。同じ調査で67.8%が環境に否定的な影響があると答えた

ファンを責める数字ではない。知っていても買わざるを得ないように設計されていることを示す数字だ。

日本ではどうなるか

この記事の構造を、日本の読者は説明なしで理解できる。 世界でいちばん近い前例を持っているからだ。

日本には特典商法という言葉がすでにある。握手券・イベント応募券・ランダムのトレカを封入し、同じ作品を複数枚買わせる仕組みは、日本のアイドル市場が長く議論してきたものだ。「積む」という動詞も、1人が何十枚も買う行動を指す語として通じる。上の表の「1回あたり平均4.1枚・最大90枚」は、日本の読者にとって驚きの数字ではなく見覚えのある数字だろう。

だからこの記事で日本の読者が受け取るべきなのは「韓国は特殊だ」ではない。同じ仕組みが韓国でどう違う形に育ったかのほうだ。

論点日本韓国
複数買いを作る仕掛け握手会・イベント応募券が主軸だった時期が長いランダムのトレカが主軸。 1枚あたり平均2.9個がランダムで、96.9%のCDにトレカが入る
バージョン展開初回限定盤・通常盤など数種1タイトルあたり平均2.6仕様。バージョンごとに封入物が違う
集計への影響オリコン等の枚数集計をめぐる議論が続いてきた同じ問題。チャート順位と実際の聴取者数が離れる
買う人の自覚「分かって買っている」層が厚い同じ。67.8%が環境負荷を認識したうえで買っている

日本の読者に固有の実務ポイントは三つある。

第一に、日本盤と韓国盤は別物だ。 日本で流通する日本語仕様のアルバムと、韓国で売られている韓国盤では封入物もバージョン構成も違う。「同じアルバム」という言葉が指す中身が違うので、目当てのカードがどちらに入るのかを先に確認する。渡航して買う価値があるかは、そこで決まる。

第二に、荷物になる。 グッズが多く入ったアルバムは重くかさばる。日本から韓国は飛行時間が短く週末旅行が成立する分、預け荷物を取らずに行く人が多い。手荷物だけで複数枚を持ち帰るのは現実的でないことが多いので、買う枚数は行きの時点で決めておくほうがいい。

第三に、CDの処分は自治体基準で分かれる。 ケースとディスクは素材が違い、日本では自治体ごとに分別区分が異なる。買った国ではなく、捨てる場所の規則に従うことになる。

場面実際にやること
アルバムの値段を計算するとき「CD代」として計算すると判断がずれる。実際に買っているのは7.8個の印刷物だ。欲しいのがカード1枚だけなら、アルバムより単品で買うほうが安いことが多い
バージョンを選ぶとき同じアルバムが平均2.6仕様出る。バージョンごとに封入物が違うので、買う前に構成表を見る。「どのバージョンに自分の推しのカードが入るか」が実際の基準だ
ビデオ通話イベントのアルバムこれは物ではなく抽選の応募券を買っているのに近い。外れればアルバムだけが残る点を計算に入れる
チャート順位を読むとき販売枚数は「ファンの数」ではなく「購入回数」だ。1位のアルバムが最も多く聴かれたという意味ではない

この記事はアルバムを買うなという話ではない。好きな人の物を持ちたい気持ちに説明は要らない。ただ自分が何を買っているかを知って買うほうがいい。 52.7%と5.7%の隔たりが、その答えをすでに持っている。

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出典

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